平凡な偽聖女ですが王太子様と結婚することになりました!


 とにかくも王宮に参上しなくてはならない、と両親に言われました。私と両親は一番いい衣装を身に纏い、指定された日に王宮へ行きました。

 すぐに宮殿内へ導かれ、私はさらに別室へ案内されました。
 どうして私だけ別室なのでしょう。
 どうやら王子の私室のようですが、どうして……。

 一人で不安になっているところへ、王子が現れました。
 慌ててお辞儀をすると、王子は鷹揚に頷きました。

「今回は求婚に応じてくれてうれしく思う」
 まだ返事してないのに、と内心焦ります。

「来たということは承諾したということだろう?」
「そのことですが、殿下……」
「それ以外は認めないよ、聖女さま」

 殿下はいたずらっぽく笑いました。きゅんとなる笑顔でしたが、今はそれどころではありません。

 ふざけんなボケ、と言いたくなるのを必死にこらえます。こっちの意志を無視してんじゃねえよ。

「殿下、誤解なのです」
 おそろそおる、口にしました。

「誤解とは?」
「知らない間に噂が出てしまって、その、なんというか、私は聖女ではないのです」

 怒られる、と覚悟して私は言いました。お叱りで済めば良いのですが、私が聖女を騙った詐欺師だと思われるかもしれません。ですが、このまま結婚に至れば事態は悪化します。知らず、体が震えました。

 勇気を出して告白した答えは、意外なものでした。
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