平凡な偽聖女ですが王太子様と結婚することになりました!

「僕がどんなに君を愛しているか、わかってくれた?」
 もはやなんと言っていいのかわかリません。

「わかってくれたみたいだね」
 沈黙をいいように解釈し、殿下はにこにこしています。

 私が固まっていると殿下がそっと近づき、低くささやきました。
「聖女じゃないってバレたらどうなるか、わかっているね?」
「ひっ」
 私はびくっとしました。

 脅迫じゃねえかああああ!

 叫べたらどんなに楽でしょう。

 もし真実を告発したとして、王太子と男爵の娘、どちらを信じるでしょうか。

 結果、私が偽聖女として罰せられるだけです。その場合、家族まで巻き添えになるかもしれません。

「わかったら、素直に僕と結婚してね」
「は、はい……」
 私に断るという選択肢は消えました。

「よく顔を見せて。ああ、髪も瞳も、亡くなったママに本当によく似ている」
 王子が私の両頬を愛おしそうに包みました。

「重度のマザコンストーカー!!」

 我慢できずに、とうとう叫んでしまいました。




 後日、私は正式に聖女に認定され、王子と結婚しました。
 私は最後まで逃げることができなかったのでした。



〜 終 〜

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