君の嘘から始まる本当の恋
ふと、天峰くんの形のいい唇が「あ、け、ろ」と動かされる。


あけろ…って、この紙を開けろってこと?


首を傾げながらも、四折りされたルーズリーフの切れ端を開けて、中の内容に目を走らせる。



もう一度天峰くんに視線を向けるけど、天峰くんは頬杖をつきながら前を向いてしまっていた。


中には、


“四時、教室にて話がある”


とだけ書かれていた。





「え?天峰くんに呼び出された?」


「うん。四時、教室にて話がある、って…。なんだろ?」



中庭掃除をしながら、高校に入ってから仲良くなった親友、桂木乙葉(かつらぎおとは)が驚いたように目を丸くしていた。
< 2 / 90 >

この作品をシェア

pagetop