君の嘘から始まる本当の恋
「い、いや!全然…」



さっきの玲央の言葉を思い出してしまい、思わずかっと頬が熱くなる。


きっとあれもあの場を誤魔化すための嘘に決まっているとわかっているのに、どうしてこんなにもドキドキしてしまうんだろう…。



「…さっきの、嘘じゃねぇからな」


「…え?」



まるで私の考えを見透かしたかのように玲央がほんのり頬を赤くして、そっぽを向きながらそう呟いた。



「…杏花は、可愛いよ」


「え、な、何急に。お世辞言ったって何も出ないからねー?」



あははと笑いながら軽く玲央の肩を叩くと、その手を絡め取られた。



「お世辞でもなんでもなくて。ちゃんと本心だから」
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