君の嘘から始まる本当の恋
目の前に突然現れた悟に適当に返事をしながら、気づけばいつもの彼女を目で探していた。



七海とはあの日以来、もう三月になったというのに一度も話していない。


話しかける勇気もきっかけもなかったため、いつもコロコロと表情を変えて友達と話している七海を遠くから見るだけだった。



「あ、わりぃ、飲み物買いたいから先行ってて」



悟と莉菜とわかれて、近くにあった自販機に立ち寄る。



「あ、杏花」



金を入れたところで後ろから知った名前が聞こえてきて、思わず振り向いてしまう。


そこには購買帰りなのか袋をさげた七海と、チャラいと有名な二年の男子が楽しそうに話しているところだった。



…あいつ今、“杏花”って言ったか?


一体七海とどういう関係なんだよ…。
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