君の嘘から始まる本当の恋
モヤモヤする気持ちを押さえながら、二人の会話にじっと集中する。



「杏花、美容院行ってないだろ?毛先んとこ枝毛できてんぞ」


「え、うそ。伸ばしっぱなしにしてるからかな」



チャラ男が馴れ馴れしく七海の髪の毛を指に絡めて遊んでいる。



…こういう時、俺が七海と特別な関係だったら誰の目も気にすることなく堂々と間に入っていけるのに。


ただのクラスメイトという関係をずっと続けてきて、今更どう変えたらいいのかなんてわからなかった。



「おー玲央、遅かったな。今ジェンガやってるから一緒にやろうぜ」


「負けた人、罰ゲームねぇ」



悟と莉菜と話しながらも、頭の中はさっきの七海とあのチャラ男でいっぱいだった。


俺がこうして離れている間にも、七海は他の男に取られるかもしれない。
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