君とお茶を
 女の子は喜んで魔法使いに何度もお礼を言いました。
 そして、

「本当にありがとうございます、これならきっとお父さんも良くなります!お礼に、このお菓子を魔法使いさんにあげます。あなたのウワサを聞いたの、お菓子とお茶が好きなんだって」

 女の子が差し出したのは、手作りの小さなビスケットでした。
 きっと女の子が魔法使いに手渡すために作ってきたものです。

「君が作ったの?僕は甘いお菓子が大好きだからね、嬉しいよ!良かったら……」

 魔法使いはそう言い、勇気を出して女の子を誘います。

「……良かったらこのビスケットで、僕とお茶はいかが?」

 すると女の子は喜んでうなづきました。

 そしてキレイな湖の見える場所に魔法使いの出したテーブルとティーセットで、二人で仲良くお茶会を始めることになりました。

 それは魔法使いにとっては初めての、楽しいひとときになったのでした。


 そして女の子のお父さんの頭痛は魔法使いの薬でたちまち治り、家族は魔法使いの親切をとても喜んでくれました。

 女の子は魔法使いととても仲良くなり、魔法使いの一番の友達になりました。

 女の子は魔法使いによく会いに来るようになり、魔法使いも女の子の住む村へよく出向くようにもなりました。

 しかし魔法使いの甘いお菓子好きは直りません。
 女の子とのおしゃべりに夢中になったおかげで、少しだけお菓子の食べる量は減ったのだけれど。
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