一途な副社長は寵愛する彼女に愛を注ぐ
11〜ヒカリside〜
私は開いた口が塞がらない。

塁は急に家に来たと思ったら、私の左手を取って、玄関でバカ高いであろう婚約指輪をはめた。

そして、結婚指輪も重ね付けして。

それから、ズカズカと私の手を引いてリビングまで行けば、テーブルに自分のサインが既にしてある婚姻届をスッと出した。

「サインしろ」

そう言った。


「はい?」

嬉しさよりも困惑がまさって、唖然としてしまう。


塁は、昔からぶっ飛んでる所はあった。
というか、いきなり強引な所がある。
ただこれは、過去一ぶっ飛んでる。

「それから、家買った。俺たちの。引っ越すぞ」

と更に追い討ちをかける。


「ちょちょちょちょ!!」

いろいろすっ飛ばしてるって!
え?その前に、付き合ってないよね?
何も言われた事ないよね?

「なんだ?」

「なんだ?じゃないでしょ!!」

馬鹿なの?

「嫌なのか?」

塁が、急にしおしおと背中を丸くさせて、犬みたいな顔で見てくる。

ウッ!
何その顔っ!

私は思わず、ペンに手を伸ばしてサインしてしまった。

塁が、嬉しそうに見てる。

そう。見てる。
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