一途な副社長は寵愛する彼女に愛を注ぐ
そして、麗がついに分娩室に移動する。

よろよろと。ヨボヨボと。
だ、大丈夫か?

絶対笑うなよ。と自分に言い聞かせる。
麗は真剣なんだ。
新しい命を産むために。
麗も命がけなんだ。

そして、また純平と目が合う。

何で俺を見んだよ!!

純平!!頼む!!お前、絶対笑うなよ!?
目で訴える。

ここで笑ったら、麗は間違いなくブチギレんぞ!?

よし。何とか耐えた。

「頑張れ。麗。」

最後に、麗に声をかければ、麗が振り向いて、コクっと頷いた。

かっけー。

我が妹ながら、今のはカッケーわ。

あれが、母親の顔なんだな。

麗も、いつの間に、あんなになったんだな。

俺にとっては、いつまでも手のかかる妹だと思ってたのに。

逞しくなったもんだ。
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