ウソトホント
私の通う学校は、3年間クラス替えがない。
思えば1年間、柏木くんとはいつもこうだった。
からかわれて、言い返して。
でもたまに優しいから、勘違いしそうになる。
「くそ痛ぇ」
と言いながら隣の席に着席した柏木くん。
「今日、日直だよ」
柏木くんは、黒板に書かれた私と自分の名前を見て「げ。本当だ」と眉間にシワを寄せた。
そして、
「4月1日、エイプリルフール」
と続けた。
私はその言葉にドキッとしたけれど、何も言わなかった。
「くだらねー。俺は絶対ウソつかない」
頰杖をついて言った柏木くんに、
「そう?私はウソつこうかな」
と返すと「うわ。めんどくせーから絶対俺にやんなよ」と言われた。