ウソトホント



休み時間になると柏木くんの周りにはいつも人が集まる。


口は悪いけど、頼りになるし、ノリも良いし、見た目も悪くない。

隣の席から見ていても、何人かの女子が絶対好意を寄せているのが見え見えだ。

「柏木くん、この前のサッカー部の試合見に行ったよ」

1人の女子がそう言った。

「マジ?気付かんかった」

柏木くんがそう言うと、自称親友の酒田(さかた)くんが口を挟んだ。


「コイツ女に興味ないからね」

「は?あるわ」

柏木くんがそう言うと、周りが少しザワついた。

「なになに?どんなん?」

「知りたーい、好きなタイプおしえてよ」

そんな話題に、私は本を読んでいるフリをしてひっそり聞き耳を立てた。

「うーん」

人集りの隙間から柏木くんを見ると、一瞬目が合った。

すぐに逸らされたけれど。









「ロングヘアーでスタイル良くて…ギャル?あ、年上とかも有りだな」






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