ウソトホント
「え?」
「あの場面で、“黒髪ショートでからかうの面白くて背小さくて休み時間は読書してる子”とか言ったら、バレる。普通に」
柏木くんは少し耳を赤くしながら言った。
「しかも泉、目合わせてくるし」
「そ、それは…」
手に持っていた地図を立て掛けた柏木くんは、私の目の前に立った。
「絶対ウソつかないって言ったけど、俺の方がちゃんとウソついたな」
柏木くんがそう言って笑うから、私もつられて笑った。
「俺の好きなタイプは泉だよ」
「…柏木くん、」
柏木くんは私を抱きしめて、続けた。
「付き合おう」
そのひと言に、私は腕の中で大きく頷いた。