神祇地祇~穢れ、祓います!~
第零章 穢れ討伐
――おおぉぉぉーん。
地鳴りのような唸り声が響き渡る。
音の元は遙か遠くだが、私たちが待機している場所にまで聞こえてきた。
小学校の校庭に設置された仮設テント、周囲では作業服姿の人間が多数、忙しく働いている。
「……きた」
隣に立っていた若い男――伶龍が唇を歪めてにやりと笑い、カチッと鯉口を切る鋭い音がした。
短髪に黒のスーツ姿、ぎょろりとした三白眼は彼のガラを悪く見せていた。
さらにかけている、太縁の黒眼鏡がそれを強調する。
実際、数えで二十歳になって彼とペアを組んでからというもの、彼のせいで私は災難続きだ。
「いい?
今日こそ私の指示に従って」
伶龍を注意する私はといえば、白の着物に緋袴……いわゆる、巫女装束だ。
これからの行動を考えればジャージにしてくれと言いたいところだが、これがきまりなのだから仕方ない。
それにもう、慣れた。
それでも長い黒髪は邪魔にならないように後ろで輪っかにして結わえている。
「聞いてるの?」
しかし彼から返事はない。
目をらんらんと輝かせ、腰を低くためてそのときを今か今かと待ちかまえている。
地鳴りのような唸り声が響き渡る。
音の元は遙か遠くだが、私たちが待機している場所にまで聞こえてきた。
小学校の校庭に設置された仮設テント、周囲では作業服姿の人間が多数、忙しく働いている。
「……きた」
隣に立っていた若い男――伶龍が唇を歪めてにやりと笑い、カチッと鯉口を切る鋭い音がした。
短髪に黒のスーツ姿、ぎょろりとした三白眼は彼のガラを悪く見せていた。
さらにかけている、太縁の黒眼鏡がそれを強調する。
実際、数えで二十歳になって彼とペアを組んでからというもの、彼のせいで私は災難続きだ。
「いい?
今日こそ私の指示に従って」
伶龍を注意する私はといえば、白の着物に緋袴……いわゆる、巫女装束だ。
これからの行動を考えればジャージにしてくれと言いたいところだが、これがきまりなのだから仕方ない。
それにもう、慣れた。
それでも長い黒髪は邪魔にならないように後ろで輪っかにして結わえている。
「聞いてるの?」
しかし彼から返事はない。
目をらんらんと輝かせ、腰を低くためてそのときを今か今かと待ちかまえている。
< 1 / 150 >