陽気なドクターは執着を拗らせている。
綿谷先生は私のスマホを覗き込み、『偉いね』と、頭を撫でた。
「綿谷先生はなんで私なんですか……こんな浮気女を口説くより他に良い女性がたくさんいるじゃないですか」
私の質問に綿谷先生は「なんかね、出会った時ビビッときちゃったんだよね」と、幼稚な回答をした。
「ビビッと……ですか?」
「うん。別に俺、宇野女ちゃんが不倫してるから可哀想で手を差し伸べているんじゃないんだよ」
「…………そう、ですか」
綿谷先生の言葉を聞きながら、今後どうしたら良いかを真剣に考える。
「こんなことを仕出かしてしまったけど、私は今の会社を辞めたくないです。もし綿谷先生と付き合うとしても、私は綿谷先生のお荷物になりたいわけじゃないんです……」