陽気なドクターは執着を拗らせている。


「スミマセン……でした」

「ごめん、俺も言いすぎた。宇野女ちゃんは奥さんのことを気にして言ってくれたのにね」


 「ごめんね」と、謝る綿谷先生。


 綿谷先生は悪くない。ずっと診てきた患者様を大事に思うのは当然だ。


 綿谷先生はこんな非常識な事を言い出す私に、まだ、一緒にいてほしいなどと思っているんだろうか。


「綿谷先生、告白なさっていただいたお返事ですが……やっぱり私とは一緒にいない方がいいです。綿谷先生には私なんかより素敵な人がたくさんいると思います。綿谷先生と結婚されたい方だって多いはずです」

「なんで俺は選ばれる側なの?」

「…………え?」

「俺は誰でもいいわけじゃなくて、宇野女ちゃんがいいんだよ。今まで色んな女の人を見てきたけど、俺が選んだのは宇野女ちゃん。選ばれたいわけじゃなくて選びたい。俺が生涯を通して大切にしていきたい人は宇野女ちゃん、返事は?」

「…………は、はい」

「俺と結婚を前提に付き合ってくれる?」


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