陽気なドクターは執着を拗らせている。
「結婚、いつするか分からないですよ。一年後なのか五年後なのか。それまでしなくていいんですか?」
「うん」
綿谷先生は本当に平気な顔をしている。まさか、結婚するまで他の人で発散してくるつもりなんだろうか。それって浮気なんじゃ……
そう思うけれど、拒否している手前そんなことを聞けるはずもなく、「そうですか……」と問いかけることを諦めた。
「せめて結婚は一年後にはしたいよね。俺も性欲がまだあるうちに宇野女ちゃんと子ども作りたいし」
「その間はどうするんですか? 風俗でも行くんですか?」
疑うような眼差しを向けると、綿谷先生は「何いってんの、宇野女ちゃん」と、顔が引きつっていた。
「その間は一人で自己処理しとけばいいでしょ。というか、俺、宇野女ちゃんを抱いたあの夜から女性を抱く気がしなくてずっと一人で自己処理してたからもう慣れたしね」
なんだろう、この罪悪感。
いきなり全ての責任をぶん投げられたような気がする。