陽気なドクターは執着を拗らせている。
「まって、宇野女ちゃん。俺も行く。二人きりじゃ危ないし、武平さんの状態を説明できるのは俺だけだから。せめて、他のところに通うにしても、きちんと紹介状を渡したいと思ってる。紹介状を書くにしてもその分の費用を頂くことになるから、一度はうちの病院に来てもらうことにはなるんだけど……」
「分かりました。綿谷先生一緒にお願いします」
何故、部長の奥さんが綿谷先生の勤務先の病院に来ていないのか、明日全てが分かるんだ。
部長は冷静に話してくれるだろうか。不安を抱えながら綿谷先生に目を移すと、「宇野女ちゃん、ハンバーグ凄く美味しそう、ありがとうね」と、感謝を口にしてくれた。
綿谷先生は一個一個、気付いたことをちゃんと言葉にして伝えてくれる。
前までは気恥ずかしさしかなかったのに、今ではどうしようもなく救われる。
ぎゅっと抱きつくと、綿谷先生は私の頭を優しく撫でた。
「綿谷先生はどうしてそんなに優しいんですか……」
「んー、優しくありたいだけ」