陽気なドクターは執着を拗らせている。
「……それはそうと、宇野女、おまえ、東医療センターの内科の綿谷とデキてるって言ってたよな?」
綿谷先生の名前が出たことによって、冷たい汗が背中を伝っていくのが分かった。
「…………はい」
「おまえ、切れよ。綿谷と。もう会うな」
「……はい」
「どうやって知り合った」
綿谷先生のことをこれだけしつこく聞いてくるということは、やはり綿谷先生も部長の怒りの沸点に関係していた。
さすがに一年前に元々知り合っていましたとは言えない。矢田には悪いが、名前を利用させてもらう。
「矢田が綿谷先生と友人だったらしく、矢田経由で知り合いました」
「……はあ、矢田か。アイツ飲みが好きだからな」
そう呟いた後に部長は言葉を続けた。
「おまえ、綿谷とはもう寝たのか?」
「……いえ」
「優しいだけが取り柄のお坊ちゃん先生だからな。寝てもつまらないだろうよ。宇野女の体は俺がじっくり可愛がってあげないと……なあ?」
まずい。部長のスイッチが完全に入ってしまった。