あの頃、キミが全てだった。


でも、こんなに人気なのに、



それなのに……





「おーい!雫みっけ!」


私を見つけるとすぐに来てくれる皐月。



「よくもあの輪の中から出てこれたね、わざにお昼の時まで来なくてもクラス一緒じゃん!」



「えー、会いたくなったから来たって理由でもダメ?」




……ドックン、ドックン。



「またそうやって、人をからかわないの!」

「ごめんごめん、じゃ、また」





イタズラにニコッと笑って去って行く皐月に、

私の鼓動はいつもよりも早く高鳴っていく。




皐月に心の中で問いかける。



どうして私に冗談だとしても甘い言葉を言ってくれるの?


なんでいつも構ってくれるの………?


友達だから………?


からかいやすいから………?


皐月のことだから、きっとなにも考えてないんだと思うけど。




私の気持ちはきっと……。




でも、まだ私は恋を知らない。



これが恋だと言うのなら、ほんの少しずつ心がきっとキミに向かってる気がした。

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