あの頃、キミが全てだった。
「皐月!待って!!」
雫の声だと反応した俺は、すぐに後ろを振り向く、
「良かった…向いてくれた…ごめん皐月!本当に今までごめんなさい。」
そう勢いよく言って頭を下げる雫は、
顔を上げて、
「誤解してたの…それで、またみんなを困らせた。特に皐月には酷いことを言って傷つけた。それでも………私…皐月と友達に戻りたい……皐月とくだらないことで笑いたいし、ふざけながら一緒に居たい!わがままばかりだけど………「もういいよ、」
俺は言葉を遮って止めた。
夢なのかと思ってしまうくらいに、
目の前で話している雫を見るとつい、抱き寄せたくなるのを我慢しながら、
「仲直りしようぜ!それでさ、毎日楽しもうぜ!」
そう言って笑えば、
柔らかな笑みを向けて、
「ありがとう、皐月」
そう言ってくれる雫に、
夢ならば覚めないでと願った。
雫の笑顔が美しくて俺には眩しかった。
今だけは、喧嘩なんてせずに楽しみたい!
今日という日は、もう戻らないからーー。