あの頃、キミが全てだった。


皐月が、ベンチのところで座っていて、



夢なのかと思い、目をこする私に、



「はは、雫に会えるなんてラッキー」


なんて、嬉しそうに言う皐月は、


トントンと自分の隣に座るようにベンチを軽く叩いて教えてくれる。



それをみて、私はすぐに座った。




「1人で来たの??」


そう言われて、コクリと頷く私に、


「暗かったでしょ?1人じゃ危ないのに……どうして?」



そう言われて、返事に困る。



………皐月に会いたくて


たったの一言が言えなくて、喉の奥で詰まる。


それを誤魔化すように、


「皐月はどうしてここに?」


そう聞いた。
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