あの頃、キミが全てだった。
***
「雫ちゃーん!体調大丈夫なの?無理しないでね」
病み上がりで久しぶりに学校に行くと、すぐに美羽がやってきてくれた。
「ありがとう!」
そう笑って言うと、
「もう皐月くんカッコよかったんだよ?雫ちゃんが倒れると誰よりもすぐ駆けつけてくれて、お姫様抱っこして保健室まで運んでくれたの!まさに王子様だった!!」
「え、皐月が?」
「そうだよ!それでね、雫ちゃんの家を知りたいって言うから雫ちゃんに聞かず教えちゃってごめんね、」
そう両手を合わせて謝る美羽の言葉は半分聞いていないようなもので………
頭の中は、お姫様抱っこを皐月がしたってことがぐるぐると回るばかりで…
「どうしたの雫ちゃん?具合でも悪いの?」
そう言って、ジタバタしてる美羽に、
「よ!元気かー?」