あの頃、キミが全てだった。
そう言って、元気よく登場してきた男こそ、私を悩ませる王子こと皐月だった。
「おはよー、あの時はごめんね、ありがとう!」
「無理して笑うなよ」
そう言われて、驚いた、
その顔を見て、また
「何年一緒にいると思ってんだよ!」
なんてドヤ顔で言ってくる皐月。
こんな時ですらも、心臓が簡単に高鳴る。
「皐月が…運んでくれたんだって?」
「んだよ!嫌だったのかよ!」
そう不機嫌そうに呟く皐月に、
「いや、むしろ嬉しかった!ありがとうね!」
そう言って微笑めば、
「お前を守るに決まってんだろ!」
その言葉でまた一つときめいてしまった、蝉が鳴き始めた_______初夏の朝だった。