あの頃、キミが全てだった。

「はい、とれた！」



ﾄﾞｸﾝッ。


目と目があって､見つめ合う恥ずかしさに照れながらも､



「あ、ありがとう…」



そう伝えると、ニコッと笑って､美味しそうに食べ始める皐月は、またもや、知らずに人の心を射止めるモンスターだな。




そう思いながらも､胸の高鳴りを誤魔化すように私も大きな口で食べ続けていると、



「あのさ」

ふと、皐月の一言で手を止めて顔を見る。


もしかして、あまりの食いっぷりに引いてる？




若干、おどおどしながらさつきを見ると、



　　　「雫ってさ彼氏っている？」



あまりの言葉に驚くも、冷静に考えると､やっぱり食べ方が汚すぎてコイツ彼氏いたらやばい奴だな。みたいな感じに思われてるのかな？まぁ、そう思われても仕方がない。



若干開き直りながらも答える。



「居ないよ､こんな奴誰が相手するかってね､はは」

力無く笑う私に､



「いるよ…きっと、この世界のどこかには､はは」