あの頃、キミが全てだった。
「なに、悲しんでんだよ、せっかくの可愛い姿台無しだぞ、すっごい似合ってるんだからさ」
そう言われて、顔を上に上げれば、
目があって、たまらなくドキドキする。
お互い制服以外では初めてだったから、皐月の普段着は、シンプルな白のTシャツに青のスキニーで、
いつもと違う雰囲気に今にも心臓が飛び出して来そうなほどで、
それでも、今日は皐月のために…
皐月のためだけに…
慣れないメイクも、髪型も頑張ってきた。
だから、その言葉は私にとってどれほどに嬉しいことか
皐月に伝えたい……
「皐月……」
「おう?」
「皐月のため……」
「ごめんごめん!!」
「2人ともお待たせ…」
言いたかった言葉は、全て言えなくて…