あの頃、キミが全てだった。


「さつ…「蓮見くーーーん!!!」


後ろから美羽の大きな声が聞こえて来て、それに気づいた皐月は


「ん?俺?」


そう言いながら、美羽の元へと駆け寄って2人で楽しそうに走っていく。



あまりにも惨めに思えて、切なく感じて、、


私とじゃなくてもあんな風に笑うんだとか、



なんともなく手を繋げるんだとか、そう思えては、落ち込んでいく。


1人だけ時が止まる。



そんな時、


「荻野?どうした?俺でよければ行くよー?」


心配そうに駆け寄ってくれて、チラッと紙を見ては、申し訳なさそうにする海人くん。でも今は、とってもありがたい。


腰に手を当て、笑ってくれる海人くんの腕を掴んで、


「ごめん、海人くんお願いします」

そう言って、微笑めば、



「良かった、この間の借りが返せる!こうなったら2位狙うぞー!」

「はは、海人くんありがとう!」



考えてる場合じゃないと思っ私は、夢中に走る。



「良かった、笑ってくれた、って荻野早いのな」


「なにそれ、これでも必死」


「はは、力入れすぎて自分のペースで走ってたわ、ごめん」


「2位狙うんでしょ?抜かすよー!」


「お!いいねぇ、しゃ!いくぞー!」



海人くんと楽しく話しながらもゴールを目指す。



「ゴール。」ハァハァハァッ。


「海人くん」「荻野!!」


「「イェーイ!!!!!」」

一位は逃したものの二位でゴールした私達は、ハイタッチをして喜び合う。
< 60 / 186 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop