あの頃、キミが全てだった。
「さつ…「蓮見くーーーん!!!」
後ろから美羽の大きな声が聞こえて来て、それに気づいた皐月は
「ん?俺?」
そう言いながら、美羽の元へと駆け寄って2人で楽しそうに走っていく。
あまりにも惨めに思えて、切なく感じて、、
私とじゃなくてもあんな風に笑うんだとか、
なんともなく手を繋げるんだとか、そう思えては、落ち込んでいく。
1人だけ時が止まる。
そんな時、
「荻野?どうした?俺でよければ行くよー?」
心配そうに駆け寄ってくれて、チラッと紙を見ては、申し訳なさそうにする海人くん。でも今は、とってもありがたい。
腰に手を当て、笑ってくれる海人くんの腕を掴んで、
「ごめん、海人くんお願いします」
そう言って、微笑めば、
「良かった、この間の借りが返せる!こうなったら2位狙うぞー!」
「はは、海人くんありがとう!」
考えてる場合じゃないと思っ私は、夢中に走る。
「良かった、笑ってくれた、って荻野早いのな」
「なにそれ、これでも必死」
「はは、力入れすぎて自分のペースで走ってたわ、ごめん」
「2位狙うんでしょ?抜かすよー!」
「お!いいねぇ、しゃ!いくぞー!」
海人くんと楽しく話しながらもゴールを目指す。
「ゴール。」ハァハァハァッ。
「海人くん」「荻野!!」
「「イェーイ!!!!!」」
一位は逃したものの二位でゴールした私達は、ハイタッチをして喜び合う。