【短編】冷酷な旦那様が恋に落ちたのは、離婚を申し出た花嫁でした。
ぐるぐると終わりの見えない考えをしていると、突然視界が回り、体が床に押さえつけられた。
「お前が20歳になる誕生日の日までしっかりと惚れさせてやる。お前から離婚の申し出を取り消しをしたいと思えるまで甘やかしてやる」
「だ、旦那様っ!?」
真上に見えた旦那様のお顔を見て慌てふためく私は、とんでもなく面白い顔をしているだろう。
まさか旦那様からこんなことをしてくるなんて思わなかった。
「私のことで頭をいっぱいにしてやるから」
そして何を思ったのか旦那様は私の首元に顔を近づける。
そして、着ていた着物を少し緩めると私の首筋に甘く甘く噛み締める。ちゅう、という音が部屋にひびき、恥ずかしさに悶えた。
「ん……ひゃあ!」
「いいか?これが消えぬよう必死で守れ。守れたらお前は俺に愛されてる。どうか、忘れないでくれ」
どくん、どくん……と心臓が甘く跳ね上がり、無防備になった私の体は熱い。