【短編】冷酷な旦那様が恋に落ちたのは、離婚を申し出た花嫁でした。

私も大きな責任を感じながら巫女の仕事をしてきた。


……だけど、私はそんな能力は持たずに生まれた。


今の時代、唯一の一人娘なのに能力を持たない“無能な娘”。その事に気づいたのは割と早い段階だった。


病気を治すためにお参りに来られた方には舞を目の前で舞うという仕事があった。


そのために稽古もたくさんして、頑張った。


……なのに。


私の才能は花開かず、病気も直せずのただの役立たずになってしまった。


期待して来てくれた参拝のお客様。


みんながっかりして帰られた。


時には殴られ、怒鳴りつけられることもあった。


私はなんのために生まれたのだろう。


そう考える日々。


だけど、そんな私に一通の手紙が届いた。それは私への縁談の話だった。19歳にしてまだ婚約していない私にとって嬉しい知らせだった。


だけど、その相手を知って私はお断りしようとした。


だって、その相手は……。
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