【短編】冷酷な旦那様が恋に落ちたのは、離婚を申し出た花嫁でした。
冷酷無慈悲な皇帝。
星龍千隼(せいりゅうちはや)だったから。千隼は今年で26になる呪術師。日本の軍隊に所属し、その神々しい成績を残して頂点に上り詰めた男。
彼が軍の味方をすれば必ず勝つと言われている。
そんな彼からの縁談だった。
噂によるととても美しい見た目をしてして、性格は誰も愛すことをしない冷酷無慈悲なんだとか。
そんな彼に付くことなんて出来るわけがない。そう思ってお断りしようとした。
『これは扇谷家と星龍家で決めた政略結婚だ。断ることは許さない』
お父様にそう言われ、断る権利を失った。
なんの能力も持たない私が婚約してもいい御方なのだろうか。
そう考えてしまう。
『ただひとつ厄介なのは……向こうの病気を治せというのが約束の内容に入っている。お前は能力が使えないだろう?』
お父様に言われてドキッとした。
向こうの病気を治せ……?そんな約束があるのなら尚更私が行ってはいけないのでは?