好きになって、俺のこと

「……はぁ」

私が断らないのを知っての行動に心底腹が立つ。
あの課長はいつもそうだ。締切ギリギリの仕事をいつも急に言ってくる。無理な仕事ばかり押し付けてくる。私はよっぽど嫌われているらしい。

はい今日も残業確定、お疲れ私。


「山下さん、大丈夫ですか？」


不機嫌さがつい表に出てしまっていたのだろう。同僚の赤井誠(アカイ マコト)が私をのぞき込むようにしてそう聞いてきた。


「あ、はい。大丈夫です、ありがとうございます」


心配するくらいなら…なんて、人の優しさを素直に受け取れなくなってしまった私は、完全なる嫌な大人だ。


「なにか手伝える事があれば声掛けて下さい。俺、まだ余裕ある方なので」


「赤井さん、本当にありがとうございます」


笑顔を浮かべ軽く会釈をした後、私はまたパソコンと向き直った。赤井さんはすごい。私もこんな大人になりたかったな。


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