アブナイ三角関係


ーーー



「……」
「……」


ポニーテールを揺らしながら去っていく背中を見つめているのは…

俺だけではない。


隣で座り込んでいる霜崎とかいうこの男も、佐倉の背中を意味もなく見つめている。

いや意味もなく…ではないのか…



「つーかさ」

ふと呟き、よっと立ち上がって俺を横目で見る。

「お前美桜のことどう思ってんの?」

…は?


「俺をこれだけ威嚇してるってことは、少なくともそういう感情があるってことだろ?」



「…君には関係ないよ」

「関係なかったら聞かねぇよ」


食い気味でそう返してきた霜崎というやつ。
むかつく。

その言葉になんの意味があるのか。
深く考えずともわかる。



「俺と佐倉のことに君が干渉する必要はないし、第一君が思うような感情を俺は別に持ってない」

「…変に縛り付けてるくせに矛盾したこと言ってんじゃねぇよ」


はぁ

「…腹立つなぁ」

「だから俺に腹が立つのは美桜のことが好きだからじゃねぇのかよ」


はは、そうじゃないよ。

まず根本的に俺が君に苛立ってるのは別の理由なんだよ。

「自分のものに勝手に手出されるとムカつくだろ?」

「…は?」


「独占欲と恋愛感情は別物だよ」


好き=独占欲とか

勝手にリンクさせたのは反吐が出るほど甘ったるい乙女思考のおめでたい奴らだ。



好きかどうかは関係ない。

「ただ君が」


俺にしか向いてなかったあの視線が
他にもちょろつき始めたってのが…


「死ぬほど不愉快なんだよ」



ーーー

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