アブナイ三角関係



「秋斗くん、期待だとかそんなの気にしなくて良いと思う」

「え?」

唐突に私がそんなことを言ったせいか、秋斗くんが素っ頓狂な声を出した。


彼はさっきの話を終わらせたつもりだったのだろうが、仮にも好きな人がそんな風に自分のことを卑下していたら私は黙ってなどいられない。



「私が秋斗くんの話に『ああそうですか』って同情して終わるだけの人間だと思う?」

「…?」

そう思っているんだとしたら心外だけども。


「もしさっきのが触れられたくない話だったって言うんなら、悪いけど話す相手を間違えたと思って欲しい」

「佐倉?」


きっと普段のふざけた私しか知らない彼からしたら、今ここで微笑むこともなく、淡々と言葉を紡ぐ私はかなり異様に見えているだろう。


「私は残念ながら空気が読める人間じゃないから、
煩わしくも自分の意見を腹に収めたままにはしないの」

相手があなたとあれば、なおさらだ。

「佐倉…?何言ってるの?」



「期待だとか人格だとか、そんなの気にしなくていいと思うの」

「…」


「秋斗くんは優しすぎるんだよ」

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