アブナイ三角関係
「主観と客観では180度違うことだってあるんだよ。秋斗くんは自分のことをああ言ったけど、もし本当に普段の秋斗くんの優しさが自分を囲うためだけのものだったら、もっと薄っぺらいに決まってる。でも私にはそんな風に見えてないよ」
誰かの期待に応えなきゃって思える。
それが自分の重荷になるほどに
気疲れするほどに向き合ってくれるんだもの。
「ちゃんととびきり優しいよ」
「…」
「でも期待に応える必要も、常に誰かの理想である必要もないよ」
演者じゃないんだからさ。
「誰かのための秋斗くんってわけじゃないんだから、勝手に掲げられた理想に応えようとする必要なんてないよ」
それに応えなきゃって思えるほど
秋斗くんが優しい人だっていうのは分かってるけど
「いつか気が滅入っちゃうよ。ある程度自分自身にも素直じゃないとね!」
素直すぎる私は私で問題だけどね!
「……」
「それに理想に応えようとなんてしなくても、秋斗くんは十分魅力的なんだから!無難かどうかなんてどうでも良いの!」
私はそれをよく知っている。
クラスのために球技大会で本気になれるみたいに
花火大会の時、私のために怒ってくれたみたいに
秋斗くんには王子なんてレッテルがなくても、みんなに好かれるには十分な理由があるんだよ。