アブナイ三角関係
……
「千夏なんか変わったな」
「え?そう見える?……だったらまぁ美桜ちゃんのおかげかな」
佐倉?
「花火大会の時私に言ってくれたんだよ。私たちはまだ未熟者なんだから、恋でもなんでもフルスロットルでいいんだってさ。ウケるよね」
…佐倉らしいセリフだな。
「でもなんかその言葉で、今まで変に大人ぶってた自分が馬鹿みたいだなって思ったの。だから突っ走ってみるかーって、自分に素直になってみるかーって思ったの」
自分に素直…ね。
「秋斗。美桜ちゃんめっちゃいい子だよ?」
不意に千夏が真面目な顔で言う。
「あんな可愛くて明るい素敵な子、すぐ盗られちゃうよ?」
「……わかってるよ」
そんなことわかってんだよ。
自分の気持ちだって、もう抑えられそうにないことも気づいてるんだよ。
でもそれに気づいてしまったら、きっともう後戻りできなくなるから
だから頑張って背を向けてんだよ。
「きっと近いうちに、自分の本音を無視できなくなる日が来るよ」
癪に触る笑い方をする千夏。
「いつか本物のダブルデートしてよね」
俺の肩を軽く叩いて鮮やかに去っていく。
「……」
もうそろそろ俺も限界だな。
大きくため息をついて、佐倉と霜崎が向かった方へ足を進めた。
ーーー