アブナイ三角関係
「ふ、冬紀くん!?手!」
「だめ?俺はこのままがいいんだけど」
ぅ
余裕のある表情と声色とは裏腹に熱を持っている冬紀くんの手。
嫌でも分かってしまう。
冬紀くんがどれだけ真剣に私のことを思ってくれているか。
気付かなければよかった。
知らなければよかったのに。
だって私が好きなのは秋斗くんで…
冬紀くんは仲のいい友達で…
「あーっ」
え?
「余裕ねぇな俺」
冬紀くんが足を止めて唐突に上を向いた。
「ダメダメだ」
からりと眉を顰めて笑う。
「な、なにが?」
「イメトレもしたし、もうちょっと上手くやれると思ってたんだけど…美桜を前にすると言葉が詰まって出てこないんだよ」
なにを…言って
「言いたいことも話したいこともたくさんあるのに、ただこうしていられる時間を噛み締めるのに忙しくって得意の格好つけもうまく決まらないや」
歯を見せて照れくさそうに笑った。
……っ
今、確実に、胸が鳴いた。
ときめいてしまった。
真っ直ぐに私を思ってくれる冬紀くんに、ドキドキしてる。
秋斗くんを前にしている時と同じように、心臓が騒がしくなる。