アブナイ三角関係
「ほら、俺が好きなんだったら霜崎の相手する必要なんてないだろ」
それは…
「…それは前までの話でしょ。今は…よく、わからなくなってきたの」
冬紀くんに出会い
自分の愚かさを知り
大混乱しているんだ。
だから
わからないんだ。
自分の本心も、なにもかも。
「佐倉の知ってる優しい俺とは違う、今の俺のことは好きじゃない?」
「…それがわからないの。だから困ってるんだってば」
優しいから好き
かっこいいから好き
そんなあたかもな言葉で済ませられるような浅い恋ではない。
だけど
秋斗くんが好きだから
一途に想いたいから
そんないかにもな理由で片付けられるほど、冬紀くんを蔑ろにできない。
「私は未熟者だから。真っ直ぐなところだけが取り柄だと思ってたのに…今では自分の突っ走れる道さえ見つけられない」
そんな、愚かなどうしようもない人間だ。
「佐倉の取り柄は真っ直ぐなところだけじゃないよ」
…え?
そういえば繋がっていた手。
その手を強く握って、少し引き寄せられた。
秋斗くんの、優しくもなければ意地悪でもない
そんな、真剣な表情。