アブナイ三角関係
7 サクラミオ
ーーー秋斗side
佐倉美桜とは小学校が同じだった。
小学生時代は大して関わりもなく、ただたまに見かける騒がしい子だと思っていた。
「あきとくん!」
そんな彼女に初めて名前を呼ばれたのは小学5年生の時だった。
同じクラスになり、遠足での班が一緒になった。
席が近い同士で班を作れと、融通の効かない頑固な担任による組み合わせで
大して仲良くない人達と班になりかなり憂鬱だったことをよく覚えている。
せっかくの遠足なのにこれじゃ楽しくない。
あっちの班のが羨ましい。
精神的にもかなり未熟な小学生だった。
本来楽しいはずの遠足は、全く楽しみではなかった。
でもそんな予想とは裏腹に実際の遠足は楽しかった。
それは佐倉美桜というクラスメイトのおかげだった。
ずば抜けて明るく、遠足中ずっと喋っていて笑いが絶えなかった。
お弁当を落とした班の子に自分のおにぎりをあげていた。
そのせいでお腹が空き、帰りのバスの中ではぐーぐーと胃があくせく動いていた。
面白い子だと、騒がしい子だと、そう思った。
6年生になりクラスが別れてしまったが、廊下で見かける彼女はやっぱり騒がしくて、隣に座る知らないクラスメイトを羨ましく思った。
中学校が別だと知った時、思いの外ショックを受けたくらいだ。