アブナイ三角関係


一年前の4月。
高校の入学式。


花の高校生活に胸を躍らせ、そわそわする同級生達。

自分のクラスへ行けば、知らない顔ばかりで少し緊張した。


そんな時、教室の扉が一際大きな音を立てて開いた。


「おはようございます!」


元気にそう言い、セミロングの茶髪を揺らして女の子が入ってきた。

頭のてっぺんに桜の花が乗っかってたんだよな。


それが佐倉との再会だった。



一年生の時は隣の席じゃなかったから今ほど話すことはなかった。

それでも彼女は俺を覚えていたし、やっぱり彼女は騒がしくていつも笑いの中心にいた。



いつからか俺は佐倉を目で追うようになっていた。

そしてある日、それは俺の一方通行じゃなくなった。


不意に佐倉が俺を見ていることに気がついた。
目が合うと慌てて逸らして分かりやすくシラを切る。

俺が他の女子と話していると不安そうにこちらを見ている。
話しかけると喜んで、花が咲くように笑う。


それが心地よかった。

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