アブナイ三角関係


俺はたまたま標準より優れた見た目をしていたらしく、女子から好意を向けられることは多かった。


だから佐倉の俺への気持ちには割と早い段階で気づいた。
でもどうやら自分の気持ちには疎いらしい。

俺は佐倉が騒がしくて、見ていて面白いから目につくんだと思ってた。


自分から佐倉を探していたことも
佐倉の視線を感じるたびに、俺がどこかで安心していたことも
その原因となる感情にも

当時は微塵も気づいていなかった。



佐倉ははっきり言って可愛い。


手入れされてないように見える割にサラサラの髪も、白い肌も、大きな瞳も、長いまつ毛も

佐倉美桜という名前があまりにも似合う、春のような優しい声も
コンクリートを突き破って咲く、花のような笑顔も


そこら辺の美術部とっ捕まえてデッサンしろとでも言いたいくらい目を惹く。


そして明るく騒がしいところも。

太い幹と強い根を張り育つ、桜の木のような凛とした真っ直ぐなところも。


何もかも、俺の心臓ど真ん中を射抜くくらい可愛い。

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