アブナイ三角関係


「美桜ちゃん!秋斗くん!」

竹田くんとすれ違いで1日仕切ってくれていたクラスメイトがやってきた。



「2人はもう帰ってもいいよ!」

え?


「2人とも大人気だったから今日休憩ちゃんと取れなかったでしょ?いっぱい活躍してくれたし、あとは私たちがやるからMVPの2人は片付け免除するよ!」

ええー
なんか悪いよ。


「でも…」

「いいの?優しいね。ありがとう」

私が何か言う前に秋斗くんが素早くそう言った。


こいつ…
なんだその笑顔は…


「いいのいいの!今日はありがとう!2人ともお疲れ様!」


「お言葉に甘えて帰ります」

秋斗くんが既に片付けが済んでいたのであろう自分の荷物を持った。

帰る気満々じゃないかこやつ。



「佐倉?鞄は?」

2人で廊下に出る。
どのクラスも片付けでバタバタしてる。


鞄を持たずに出てきた私を見る秋斗くん。

「私ジャージだから制服に着替えてから帰るよ」


「そか、じゃあまた明日」

「また明日」

更衣室に向かおうと背を向ける。



「佐倉!」



秋斗くんの珍しく大きめの声にビクッと肩を揺らす。

「なに?」


「いや、言い忘れてたと思って」





「もう知ってるとは思うけど。俺、佐倉のこと好きだから」


!?


「これからドボドボに俺に溺れさせる予定なんでよろしく。じゃあね」


ひらりと翻して去っていく背中。

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