アブナイ三角関係
「ここで一生を終えるのかと思った」
もちろん飛躍しすぎた被害妄想だとは思う。
でも冗談抜きで、本気でそのくらい怖かったのだ。
「そんなことは絶対有り得ないね。俺が、美桜がいなくなったら死ぬ気で探す。きっと…萩原もだよ」
…うん
「もう大丈夫だ。よく耐えたな」
冬紀くんがとびきり優しく笑う。
そしてその手が私の頬を伝う涙を拭う。
胸が苦しくなる。
締め付けられる。
血が巡る。指先や足先までじんとする。
「冬紀くん…ありがとう」
安心感からやっと体の力が抜け、崩れた笑みを向けた。
「……無事で、よかった」
冬紀くんの手が私の頬から離れ、膝の上に置いていた私の手に触れる。
そしてぎゅっと力強く握る。
私は無意識に、その手を握り返した。
「美桜は…」
冬紀くんが小さな声を出す。
?
「なんで俺が来たってわかったの?」
え?
「扉開ける前に俺の名前呼んだでしょ?」
ああ…
それは…
「なんとなくだよ」
なぜかわからないけど
汗だくで私を探してくれている冬紀くんの姿が、瞼の裏に浮かんだのだ。
「なんだよそれ」
「間違ってなかったね」