アブナイ三角関係
冬紀くんの手が私の手を包んでいる。
大きな手だ。
温かい手だ。
優しい手だ。
「美桜…手冷たいね」
低く響く心地のいい綺麗な声。
冬紀くんが私の手をより握ってそう言った。
「冬紀くんがあったかいんだよ」
私も彼の手をより握ってそう返す。
冬紀くんの目を見れば、彼も私を見ていて、どくんと心臓が波打つ。
「じゃあ熱分けてあげるよ」
「…うん」
握っていれば熱が移るのかどうかは知らないが
握られているこの手を離さなくていい口実ができた。
「まだ怖い?」
冬紀くんが心配そうにそう言って、空いている方の手で私の頬に触れる。
無意識にまだ溢れていた涙を拭ってくれたようだった。
しかしその手は私の頬から離れることはなく、そのまま触れ続けている。
「…もう怖くない。冬紀くんが来てくれたから」
だから平気。
「そっか…よかった」
…
「私…冬紀くんの言う通り、全然強くないね」
自分がこれだけのことに腰を抜かすとは思わなかった。
こんなに自分が弱いとは…哀れながら思っていなかった。
「迷惑かけて…ごめんね」