アブナイ三角関係
はぁはぁ
全速力で階段を駆け降りて校庭に出る。
間に合え!
人の少ない校庭。
奥の方で運動部が活動している。
校門の近く、その背中を見つけた。
その名を呼ぶべく、私は思いきり息を吸う。
「冬紀くん!!」
私のやかましい声に、その背中は足を止めた。
…行こう。
あの人のところへ。
行かなきゃ
伝えなきゃ
「冬紀くん!!」
「美桜…」
だんだん加速する。
冬紀くんの素っ頓狂な顔が見えてくる。
とにかく早く伝えたくて足を速めた。
が。
「冬紀くっ」
あ。
ツンっと自分の足に自分の足が絡まる。
こ、これはまさかの……
このタイミングで…
体が大きく傾いていく。
こっちに向かって手を伸ばす冬紀くんがスローモーションで見える。
だが私と彼はまだ離れている。
手を伸ばしても届かない距離であるっ
ということはつまりっ
つまりはっ…
ズシャアアアアアア!!
「美桜ぉぉぉ!!?」
美しくつまずいた私は見事に顔面から地面にスライディングした。