アブナイ三角関係


無自覚だよね?
そうだよね?

私の気持ち伝わってないよね?

大丈夫だよね?



「ねぇ佐倉。俺危機感持てって言ったよね」

…え?

「なんであいつに簡単に触らせるの?」

「え…?」


なに…?
どういう意味?

あいつって誰?

あなたは…私の知ってる秋斗くん?


秋斗くんのいつもと違う雰囲気に、一人混乱して謎の汗をかく。



『俺の計算が狂うんだけど』

何故か分からないけど今朝の言葉が脳内リピートされる。



無自覚って…なんだっけ。

なんか…秋斗くん…
近づいて来てない?

せっかく俯いてるのに…このままじゃ…

顔が…見え…



「あ、そろそろ時間だ」

へ?

「14時30分からだよね。閉会式」

ガタンと立ち上がる秋斗くん。
すんでのところで彼の顔を見ることはできなかった。


「え…うん」

「じゃあ行こうか」

さっきまでの低い声ではなく、いつも通りの淡々とした優しい声色。


ポカンとする私にいつも通りの優しい笑顔を向ける。

「ほらいくよ」

「う、うん」



あれ…私の勘違い?

なんだかさっきの秋斗くんは…いつもと違った気がしたけど。

バクバクと激しく波打つ心臓に手をやる。


…秋斗くんが

本当に分からない。

< 63 / 271 >

この作品をシェア

pagetop