ふたりだけの世界で、本物の愛を。

「はぁ……」



恐れていた時が来てしまった、と思ったと同時にショックだった。

翔ちゃんの何を知って、そんなことが言えるんだよ……!

わたしが騙されやすそうな見た目だとか、そんなことはどうでもいい。


ぼんやりしていて、おっちょこちょいなところもあるから、そう思われてしまうのは無理もない。

けれど、翔ちゃんのことをよく知りもしないで、勝手に決めつけられることがどうしても嫌で、本当に苦しかった。

自分のことよりも、つらくて。



「あれーっ。奈々、今日遅くないー?」



「奈々ちゃんなら、今日、病院行ってから来るって」



クラスメイトの子が、奈々について話しているのが聞こえた。

そうか、奈々はまだ来ないんだ。



「にしても、まさか春原さんがね……」



同じ声だ。
顔を上げなくとも、わたしについての会話になったことがすぐにわかった。



「何歳くらいの人とだっけ?」



「すごく大人っぽくて、社会人に見えたらしいよ。だから、まあ25歳くらいじゃない?」



「17歳が25歳と付き合うのはちょっとね……」



「8個上は、ないよねー。あたしだったら、考えらんなーい」



ガタン!
気がつけば、わたしは席を立っていた。




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