ふたりだけの世界で、本物の愛を。
スクールバッグを持って、わたしはそのまま教室を飛び出し、靴箱へと走った。
「えっ……?」
さっきまでわたしに対して色々言っていた人たちも、いきなりスクールバッグを持って走っているわたしを見て、唖然としている。
「春原、どうした!?」
担任の先生にも、逃げようとしているのが見つかったみたいだけれど、それも無視して走った。
靴箱で、上履きから靴に履き替えて、学校を飛び出し、そのまま走り続けた。
「はぁ、はぁ……」
とうとう体力の限界が来てしまったようで、わたしはそのまま近くのベンチに座り込んだ。
お母さんにも内緒で学校を休むなんて、こんなの初めてだ。
でも、いいや。
ここなら、同じ学校の人が近づいてくることはないし、つまりは翔ちゃんのことで何も言われないということ。
そう思うだけでも、脱走してまで、ここに来てよかったと思えてしまった。
……でも、それと同時に。
やっぱり、釣り合わないのかなとも思えてしまう自分だっている。
だって、翔ちゃんだったら学校をサボるなんてあり得ないし。それに、先生にすら何も言わないで抜け出すだなんて、自分でも本当に良くないことをしたとわかっている。