ふたりだけの世界で、本物の愛を。
「それは……」
奈々の質問には、答えるまでもなかった。
「ね? これで分かったでしょ」
わたしがどっちが大事なのか、とっくに分かっている奈々はにっこりと笑みを浮かべる。
「だったら、彼氏のところに行きなよ」
「えっ……でもこうやって、逃げてきちゃったんだもん。今更戻れないよ……」
翔ちゃん、きっと怒っただろうし……。
わたしがあんな態度を取っちゃったんだもの、きっと翔ちゃんは呆れたと思う。
「じゃあどうするの?」
奈々の言葉で、わたしの胸がツキンと痛んだ。
「そういった気持ちを隠して、逃げ続けていいの?」
奈々は同じトーンで、話し続ける。
「自分のことを素直に話して、彼氏に謝ること。千秋にだったら、できるはずじゃない?」
奈々の言葉に、わたしは小さく頷いた。
「ほら、行きなよ」
「うん、ありがとう奈々!」
わたしは顔を上げて言うと、奈々も笑って頷いてくれた。