ふたりだけの世界で、本物の愛を。
わたしは、スマホに電源を入れる。
そこには、たくさんの奈々からの通知だった。
一応、奈々のことは解決したとしても、メッセージの通知を見ると、改めて申し訳ない気持ちになる。
わたしは、翔ちゃんにメッセージを送って、駅前に来てほしいことを伝えた。
数分間待っていたけれど、翔ちゃんからの返信が来ることはなかった。
不安が涙になって出てきた。
自分が悪いのはもちろんわかっているけれど、やっぱり翔ちゃんに伝えたいことも伝えられなくなってしまうんだ、と思ってしまう。
「千秋」
低音ボイスが、心地よくわたしの耳をくすぐった。
「しょ、翔ちゃん!」
翔ちゃんは、来てくれた。
近づいてくる姿は、本当に翔ちゃんだった。
「しょー、ちゃん……。あのね……」
わたしは、さっきのことを謝り、何があったのかを全て話した。
「ごめんなさい……。自分が何言われるのはいいとして、翔ちゃんのこととなると、やっぱりわたし、我慢できなかった……!」
これで本当に、呆れられても仕方ないと思う。
わたしの行動は、本当に冷静の“れ”の字もない。
「そういうことだったのか」
翔ちゃんは頷きながら、そう言った。