ふたりだけの世界で、本物の愛を。
「ねぇー、千秋。これから、みんなでカラオケ行くけど、行かない?」
放課後、親友の宮北奈々がリボンのついたポニーテールを揺らしながら話しかけてきた。
奈々は、明るいムードメーカーで誰とでも仲良くなれる性格。多分、この学年で奈々のことを知らない女の子はいないと思う。それくらい、奈々は仲のいい友達が多い。
奈々がそういう性格をしているのと、わたしが少し内気なところがあることが原因なのか、わたしも奈々以上に話さない友達はいない。
奈々のおかげで、仲良くなれた友達もいる。
だから、奈々の言っている“みんな”がいつも誰がいるのかが分からない。
「ごめんね、奈々。わたし、今日、用事があるから」
「そっかー、残念。じゃ、また明日ねー」
「うん、また明日!」
わたしは、スクールバッグを肩にかけて教室を出た。