ふたりだけの世界で、本物の愛を。

わたしの急な声に、翔ちゃんは顔を上げるなり、ぷっと吹き出した。
ふわふわ卵のオムレツは本当に美味しいけれど、できたてだから、少し舌が火傷してしまいそう。



「ほらほら、千秋。慌てすぎだよ」



翔ちゃんが、わたしにお冷を差し出してくれた。



「ありがとっ」



もう、なんだかこれじゃあ、ますます年が離れてるように思われてしまうよ。
実際の年や容姿だけでもなく、行動だってそう。

その場でアワアワしてしまうわたしと、いつだってササッと行動できる翔ちゃん。
一緒の時間を過ごすほど、わたし達は全然違う人間だってことがわかる。



「千秋、テストの予定日とかはもう発表されてるの?」



「ううん、まだだよ。でももう、1ヶ月あるかないかくらいだからね。でも地道に進めていかないと」



「翔ちゃんは頭いいから、きっと大丈夫。小さい頃だって、習い事と勉強、両立できてたでしょ」



翔ちゃんは小学生の頃に、そろばんとサッカーを習っていて忙しいにも関わらず、勉強もおろそかにしないで学校の成績が上位だということを、うちのお母さんだってよく褒めていた。

翔ちゃんのエピソードを思い出していったら、きりがないよ。



「そういう千秋だって、漢検2級持ってるだろ」



「わたしはそれだけだよ、翔ちゃんと比べたら全然だよ」



自分の学校と同じ制服を着た女の子達が入ってくるのが見えたけれど、翔ちゃんとの会話に夢中になっていて、わたしは思わず見なかったフリをしてしまった。




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